普段は運搬・梱包用として使用することが多いダンボール。人によっては、物入れや子どものおもちゃとして用いることもあるでしょう。程よい気密性や保温性を誇るダンボールは、この他にも様々な活用方法が考えられます。
その中で、今回はダンボールを「実験」などのパフォーマンスに利用してみました。ぜひチャレンジしてみてください。
全部で4種類ご紹介しますが、いずれも比較的安全性高めなものを取り上げています。ですが油断は禁物、実験をする際は必ず保護者の方が一緒に取り組み、ケガをしないよう注意してください。
1.ポン!ダンボール「空気砲」発射
1-1.準備するもの
1-2.いざ実験!
1-3.実験を遊びに変える
2.シュルシュル!ダンボール「竜巻」
2-1.準備するもの
2-2.いざ実験!
2-3.気象に興味津々
3. エコ!ダンボール「コンポスト」
3-1.準備するもの
3-2.いざ実験!
3-3.小学校の授業で流行
4. ヒンヤリ!ダンボール「保冷箱」
4-1.準備するもの
4-2.いざ実験!
4-3.キャンプで大活躍
まとめ
本コラムでご紹介する実験の中で、最も有名なものがこちら「空気砲」です。テレビのバラエティ番組などで、実際の先生やタレントが白衣を着用し、ダンボール空気砲の実験をしていたりします。ですが、観たことはあっても試したことはないという人が大多数だと思いますので、ぜひこの機会に挑戦してみてください。
・ダンボール・コンパス・カッター・ガムテープ・ドライアイス(線香)・手袋
ダンボールは抱えるか、ある程度の高さの机に置くかして両サイドを叩くことになりますので、両腕に収まるサイズのダンボールを選択しましょう。ダンボールは大きければ大きいほど、箱の中の空気量が増えるため、それだけ威力がアップします。
次にコンパスで円を描き、カッターで切り抜いていきます。その際、円が大き過ぎると飛び出てくる空気が拡散して威力が落ちます。ですから、適度なサイズの円をくり抜くようにしましょう。そしてダンボール箱に隙間があると、そこから空気が逃げ出しますので、ガムテープできっちりと塞ぎます。中央だけでなく隅にもガムテープを貼っておけば万全です。これで準備は完了。
完成したダンボール空気砲の両サイドを適度な強さで叩きます。その威力を判断するために、軽めの人形を並べたり、コピー用紙を半分に折り曲げて立てると、空気がぶつかる様子をハッキリ見ることができます。ですが、これだけではあまり面白くありません。空気の流れを視覚化するために、ドライアイスを使いましょう。ダンボールの中へ一時的に入れて、空気砲を発射する前に取り出します。そうすると白い煙がダンボールからポン!と出てくるのが分かります。ただし、ドライアイスは決して素手で触らないようにしてください。
ドライアイスを入手できないようであれば、線香の煙を充満させるという方法もあります。ですが、火器を用いるのは危険が伴いますし、ダンボールに燃え移ることも考えられますので、実験する際は注意しましょう。
ここからは柔軟な発想が求められます。ダンボール空気砲をいかに遊びへとつなげるか、皆さんはどのようなゲームを想像しますか?たとえば、単純に的当てゲームをするのも良いですし、軽いカラーボールなら空気砲を打ち合うことでエアーホッケーのように遊べるかもしれません。ダンボール箱を叩く位置や強さを変化させながら楽しく遊んでください。
ダンボールの空気砲を使って、空気の流れを確認しました。その応用的な実験として、今度は「竜巻」を作ってみましょう。自然災害の竜巻は困りものですが、今回はダンボールの中で発生させますので、安心して実験に臨めます。
・ダンボール2箱・カッター・ガムテープ・黒画用紙・透明なプラスチックシート・ノリ・小さい容器・ドライアイス・湯・手袋・掃除機
まずは、ダンボールの工作から始めます。それぞれのダンボールの正面を大きくカットして、正面内側奥に黒い画用紙をノリで貼り付けます。次に、上に取り付けるダンボールの上部には掃除機のホースが通る穴、下部は底全体を抜きます。さらに各ダンボールとも、縦に長く四隅にスリットと呼ばれる切れ目を入れます。最後に透明なプラスチックシートを前面に貼り付けて完成です。
次はドライアイスの準備。小さい容器にドライアイス(素手タッチ禁止)を乗せて、少量のお湯を注ぎ入れます。こうすると普段よりも早い勢いで白い煙がモクモクと立ち昇ります。これを下のダンボール内に置くのです。最後に掃除機のホースを差し込んで実験スタート。
竜巻を発生させる前に、その原理について少し言及します。渦状の風が巻き起こるのは、地表の空気が温められ水分が蒸発し上空へと向かうためですが、空気中で水へと変化する際に熱を発生させます。この時に上昇気流が起きて、激しく風が巻き起こるのです。
今回の実験では地面から蒸発した水分を、ドライアイスで表現しています。そして、上部から掃除機で吸い込むことによって上昇気流を再現しています。ダンボールにスリット(切れ目)を入れたのは、横からも空気を取り込むため。結果的に、黒い画用紙の前で白いドライアイスの煙がシュルシュルと渦を巻いて立ち昇っていく様子を観察できるのです。
近年、日本各地で異常気象が発生しています。高温に豪雨、そして猛烈な台風など。身を守るためには気象についてしっかりと学んでおかなければなりません。今回のダンボール竜巻の実験が、気象に対して興味を持つきっかけになればと思います。
リサイクルやエコロジーなど、地球環境を保全するという考え方は年々重要度を増しています。これに関連してダンボールを用いた「コンポスト」作りにチャレンジしてみましょう。コンポストというのは、いわゆる生ごみ処理機のことです。
・ダンボール・ガムテープ・ダンボール板・腐葉土・米ぬか・おがくず・ゴム手袋・タオル・土台・温度計
まずはダンボールの底を閉じます。この際、ガムテープを貼り過ぎると通気性が悪くなるので注意してください。次に底が抜けないよう補強するため、底に合うサイズのダンボール板を敷きます。続いて適量の腐葉土と米ぬか、おがくずなどを入れてゴム手袋を着用した上でよく混ぜます。これが基材となり、生ごみを投入することで堆肥化するという仕組みです。ただし生ごみのニオイを嗅ぎつけてコバエなどの虫が寄ってきてしまいますので、上部はタオル等で塞ぐ必要があります。密閉し過ぎては通気性を保てませんので、タオルの上から紐やゴムで留めておくと良いでしょう。
生ごみは微生物の力によって分解されていきます。この際、熱を発しますので温度計でその上昇具合を確かめてみてください。外気温にもよりますが、40度~50度ほどになります。ダンボールコンポストを設置するのは、風通しが良くて雨に濡れない場所。そして、すのこなどの土台の上に置くことで通気性がアップします。おおよそ半年ほど経過すると、野菜や花の栽培に使える堆肥が出来上がります。
材料の用意のしやすさから、小学校の授業にダンボールコンポストを取り入れるケースが増えてきました。具体的には「総合的な学習の時間」という授業において、環境意識を高めるために採用しているのです。たとえば、東京都の八王子市立弐分方小学校では、「つなげよう段ホボールコンポストの輪」というテーマで、第5回グッドライフアワード環境大臣賞学校部門を受賞しました。各家庭から生ごみを持ち寄り、ダンボールコンポストで堆肥化した上で、野菜を育てて食べるという環境学習です。皆さんもご自宅で試してみてはいかがでしょう。
保冷や保温と言えば、発泡スチロールなどのケースを思い浮かべますが、ダンボールをその代用品として役立ててみませんか。ダンボールは紙(ライナー)と紙の間に波状の紙(フルート)という構造ですので、中の温度をある程度は保ってくれるのです。この機能を活用しダンボールで「保冷箱」を作ってみましょう。
・ダンボール・アルミ蒸着フィルムバッグ(アルミホイル)・発泡スチロール箱(比較対象)・500mlペットボトル(冷水入り)・温度計
今回の実験では、冷やしたペットボトルの水がどれだけ低い温度を保てるかを実験してみます。比較対象として発泡スチロールの箱も用意しましょう。同じサイズのダンボールには、アルミ蒸着フィルムを使用した折り畳み式の保冷バッグを入れておきます。100円ショップなどでも販売されていますので、すぐに入手できることでしょう。
すぐに試したいということであれば、大きめのダンボールへ中サイズもしくは小サイズのダンボールを、マトリョーシカのように入れていき、最も内側の箱の中にアルミホイルを貼るという手もあります。これで1時間おきにペットボトル内の温度を計測してみると、気候条件下によりますがダンボールが発泡スチロールと同じくらいの保温力を発揮します。発泡スチロールは厚みがありますから、ダンボール+アルミ蒸着フィルムの組み合わせなら、内容量をアップさせることも可能です。
ダンボールの保冷箱がどこで活躍するかと言えば、それはキャンプ場です。河原でバーベキューをしたりする時には、食材や飲み物を持参しなければなりません(キャンプ場で用意してくれるケースもありますが)。ダンボール保冷箱を使用するメリットとしては、使用後に折り畳んで小さく収納できることです。発泡スチロールでは、畳むことはできず砕くとバラバラに飛び散ってしまいますし、アイスボックスは重いです。また、使用したい時に新しいダンボールを準備するだけなので、自宅でも保管場所を占有してしまうことはありません。
今回は4つご紹介しました。その他にも、ダンボール内において静電気で蛍光灯を光らせたり、ダンボールで作った椅子の中に、渦状のダンボール板を入れて強度を上げるといった実験が考えられます。ダンボールが私たちにとって身近な道具だからこそ、色々な使い方に挑戦することができるのです。安全性に気を付けて、ぜひやってみてください。