配送や収納に大活躍のダンボール。通販やお引っ越しは、もはやダンボールがなければ成り立ちません。今回は、そんなダンボールの種類や強度などをご紹介します。そもそもダンボールは、ボール紙の芯材と補強材を組み合わせて多層構造にした紙製シートのことを指します。そしてその断面の波型が階段状に見え、またボール紙を素材にしていたことから「ダン(段)ボール」と呼ばれ始めたのです。ダンボールの材質や特徴、強度を踏まえて、用途に見合ったダンボールを選びたいものですね。
ダンボールの主原材料は、ダンボール原紙と糊です。ダンボール原紙の原料は、古紙とパルプです。パルプ(木材)は適切に管理されている森の資源のみを利用しています。 また、糊の原料はトウモロコシからとれるコーンスターチです。いずれも天然素材による原料のためリサイクルされずに放置されたとしても、最終的には土壌に還元されます。そしてリサイクルする場合も、加えるのは水だけで済みます。そして現在のダンボールは、ほぼ100%リサイクル可能となっており、原材料の90%以上が使用済みダンボールなのです。そういった点から、ダンボールは「リサイクルの優等生」と呼ばれたりしています。そんなダンボールはいつごろ誕生したのでしょうか。
ダンボールは19世紀半ば頃、イギリスで生まれたとされています。最初は、シルクハットの内側に縫い込むための通気性とクッション性を兼ね備えた素材としてでした。包装材としてのダンボールは、主に米国で発展し、19世紀末には現在のダンボールの原型がほぼできあがりました。日本では、20世紀初頭に井上貞治郎が綿繰り機をヒントに機械を自ら発明し、ボール紙に段をつけた形の大量生産に成功、それを「段ボール」と命名したのが、日本におけるダンボールの始まりといえます。その後、ダンボールは大きく進化を遂げ、包装材の主役として現在に至っています。
それでは次に、ダンボールの構造を見てみましょう。一般的にダンボールは、三重構造になっています。ライナと呼ばれるボール紙(表ライナ・裏ライナ)と、波形に成型された「中芯」を糊で貼り合わせたシートをダンボールと呼びます。中芯の波形のことを英語でフルートと呼び、シングルフルートとダブルフルートがあります。ダンボールの強度は紙質、フルートの種類や厚みがカギとなります。
ライナにも種類があり、C5〜C6、K5〜K7といったコードで分類されています。C5〜C6は古紙が多く、K5〜K7は古紙に加えバージンパルプを使用しているため、そのぶん、値段や強度が上がります。「C5」は古紙含有率90%で、洋服・バッグなど軽量物の梱包、その他仕切りやパットに利用されています。「C6」は「C5」より強度が強くなりますが、最近は需要が減り、後述の「K5」で代用されることが多いようです。「K5」は、壊れ物を梱包するのに適しており、外部の印刷もしやすく一番人気の高い素材と言えます。「K6」は、耐久性を要求される箱に使われています。積み上げてもフタがつぶれにくく、特殊形状の梱包にも適しています。「K7」は、輸出用や重量のあるものに使用されており、オーダーメイドされることが多い素材です。強度を不等号で表すと、C5<C6<K5<K6<K7となります。
ダンボールの波型部分のフルートにも幾つか種類があります。Aフルートは、青果用や引越用段ボールとしてよく目にするタイプです。厚さは約5mm、30cm内に波の数が34±2個になるものとされています 。Bフルートは、軽量なものや内装箱を梱包する際に使用されています。機械の緩衝材、POPやディスプレイの商材として人気のタイプです。厚みが2.5〜2.8mm、30cm内に波の数が50±2個になるものとされています。Cフルートは、世界のほとんどの国で主流のタイプです。Aフルートより20%薄くても強度は変わらないので、省スペース・省資源が実現できます。厚さは約3.5~3.8mm、30cm内に波の数が40±2個になるものとされています。Wフルートは、AフルートとBフルートを貼り合わせたタイプです。当然、分厚くて頑丈なので、激しい揺れや振動を伴う輸出用に多く使用されています。AフルートとBフルートを合わせて8mmになるものとされています。Eフルートは、ギフト箱などでよく見かけるタイプです。普通の厚紙のように見えますが中芯があるので、外装用に最適と言えるでしょう。厚さは1.10〜1.15mm、30cm内に波の数が95±5個という規格が一般的ですが、なかには80個程度のものもあるそうです。
次に、ダンボール箱の種類を見てみましょう。一口にダンボール箱と言っても、実に様々な種類があるので、梱包品のタイプ・サイズや重さによって見合ったダンボール箱を選ぶようにしましょう。
いわゆる「みかん箱」のサイズです。一般的に最もよく見かけるダンボールでしょう。お米、本、通販物品、引越しや輸送の際に多く利用されています。底面にテープなどで補強すれば強度があがる上、運び出す際にもこのサイズが一番便利です。
ダブル構造のため衝撃を吸収し、重たい金属製部品・ガラスや壊れ物等の梱包・配送におすすめです。厳しい環境の船便や海外輸送にも適しています。比較的重い荷物におすすめです。ダブル構造のうえ、材質はK5を使用しています。
通常のダンボールよりも組立てが手早くできるため、通販業などで小型・軽量のものを扱うのに最適となっています。商品を風呂敷のように包める上に、薄いのも特徴で「メール便」などでよく目にすると思います。商品サイズに合わせて加工できるので小サイズにすれば、配送コストを抑えることもできます。本・CD・DVDの配送に最適と言えるでしょう。
ポスターサイズから長尺のものまであり、図面・写真・賞状・ポスター等折り曲がっては困るものに適しています。サイズ・厚さともバリエーションが豊富で丈夫なので、保管・配送ともに最適と言えるでしょう。
本など、硬さと重みのあるモノの梱包や配送でよく利用されています。本やCDなど規格サイズが決まっているモノの大量梱包・配送に最適と言えるでしょう。
蓋も底もないダンボールのことです。箱の内側に入れることで衝撃吸収が強くなるので、仕切り・補強材としてよく使われています。外側のダンボールのサイズと、スリーブを使う際は、内側に入れるスリーブのサイズをきちんと測るようにしましょう。
2枚の板ダンボールを組み合わせてできているタイプです。天面・底面両方が開いており、蓋も底も差し込み式になっています。蓋が全体を覆うようになる仕組みで、蓋を折り曲げてテープで留めるか、専用のホチキスで留めるようになっています。そのため強度が弱く、粗品進呈の際のタオルなど軽量のものを入れるのに適しています。
サイドが糊付けされているので、天面と底面の組立てだけで箱が作れます。しかし、底が抜けやすい面もあるので、安全のためテープなどで補強したほうが良いでしょう。上の簡易B式タイプと同様、贈答品の梱包などに向いた箱です。
その名の通り、組み立てるだけでテープを使わず底ができるタイプです。天面のみテープが必要ですが、スピーディに組み立てができるので、発送数の多い通販業に人気のダンボールです。ただ、そこの耐久性は弱いので、重量のあるものを発送するのには向いていません。
名前は怖いですが、こちらも素早く組立てでき、マルチに使えるタイプです。胴の部分が糊付けされた筒状になっており、ふたや底面を差し込むだけで出来上がります。ワンタッチ底組ダンボール同様、通販業に人気ですが、やはり重量のあるものには向いていません。
上蓋と下蓋を合わせて梱包するタイプダンボールで、名前の通りお弁当箱の形をしています。お菓子などの贈答品の梱包に活躍していますが、外観を重視する商品の見せ方によっては加工に手間がかかるため、購入の際はコストパフォーマンスを考えて決定しましょう。
底敷き・上蓋・仕切りに使えるので、カタログやパンフレット・折り曲げては困る商品の梱包に適しています。また、ダンボール箱の底の補強や仕切り板としても、またペーパークラフトの材料としても使えます。購入の際は、希望のサイズや厚さに合わせてカットしてくれる業者もあるので、確認してみましょう。
耐水段ボールは、長時間水に触れても、強度が劣化しないように加工されたダンボールで、はっ水段ボールは、短時間なら水をはじいて水滴とし、水の浸透を防ぐように表面加工されたダンボールです。ワックスをコーディングした耐水ダンボールは、リサイクルが困難なため、現在ではほとんど見られません。
一口にダンボールと言っても、上に見たように様々な種類と強度があります。これらの種類や強度を事前に知っておけば、お引っ越しなどでダンボールを購入する際、数量や仕分けの目安になりますね。費用の節約にもなりますし、何よりも、中身の保護につながります。ダンボール専門の業者もたくさんありますので、積極的に活用してみましょう。