子どもの頃、ダンボール工作をして遊んだ経験はありませんか?小さくて可愛いお家を作ってみたり、剣や盾をこしらえて兄弟・友達と戦ってみたり…色々な想い出が浮かんできますよね。小学校の自由研究で苦労しながら工作をしたという人も少なくないでしょう。
このダンボール工作をかなり進化させたものが「ダンボールアート」であり、その完成度の高さに驚きます。材料がダンボールと知らなければ、ホンモノと思い込んでしまうような見事な作品も。実際にダンボールアート作家として活躍する人もいて、各方面から注目を集めています。
今回はダンボールアート作品を見ていくとともに、自宅でも出来る簡単なダンボールアートをご紹介します。
1.活躍するダンボールアート作家
1-1.日比野克彦氏(現代美術家・大学教授)
1-2.大野萌菜美氏(ダンボール作家)
1-3.玉田多紀氏(ダンボール造形作家)
1-4.岡村剛一郎氏(hacomo株式会社COO)
2.動画で世界にダンボールアートを発信
2-1.うぷあざ棟梁氏の動画
2-2.5,000ピースの平等院鳳凰堂
2-3.うぷあざ棟梁氏のダンボールアート作品
3.マンガから飛び出した「ダンボー」
4.自宅でも出来るダンボールアートキット
5.各地で開催されるダンボールアート展
6.まとめ
建築やデザインを学ぶ際に、ダンボールで模型を作るということが行われます。そのため日本だけでなく海外においても、大学の教授や学生たちが立体的なダンボールアートに挑戦し発表をしています。サイトやSNS等にアップしているケースも多いので、数多くの作品が見られることでしょう。
今回は日本人の作家に注目することで、ダンボールアート作品を身近に感じ取ってもらいたいと思います。一流の現代美術家やダンボール商品企画販売の会社を設立した方などをご紹介させて頂きます。
日比野克彦先生は現在、東京藝術大学の教授であり現代美術家としても活躍しています。ダンボールアートのパイオニアと呼ばれていて、1980年代頃から作品を発表してきました。ダンボールを素材とした作品で「日本グラフィック大賞」を受賞したこともあります。あの有名な、金沢21世紀美術館にもコレクションとしてドローイングや「明後日の種(2007)」などの作品が収蔵されています。2015年には岐阜県美術館の館長に就任しました。
現在では個人の展覧会を開催するほか様々なプロジェクトに携わっており、各地でダンボールアート等のワークショップも開催しています。
最近では、流行語大賞トップテンに入った「カープ女子」のように「○○女子」という呼び名が定着しています。大野萌菜美氏も大阪芸術大学キャラクター造形学科時代からダンボール工作に力を入れており、「ダンボール女子」と呼ばれていました。
大学卒業後も精力的に活動をしていて、展覧会への出品や雑誌・テレビ取材への応対、そしてワークショップの開催などもしています。若者にダンボールアートを広めた第一人者と言っても過言ではないでしょう。現在でも「ダンボール作家ワークショップ」を定期的に開催して、ダンボールの魅力を広めています。
2017年11月現在で、大野萌菜美氏の公式ホームページには184の作品タイトルが掲載されており、大半は作品の画像がアップされています。ギャラリーの最初に掲載されているのが「F4U-D1 CORSAIR」という航空機の作品です。戦車や自動車をかたどったダンボールアートもあり、その精巧さに魅了されてしまいます。
玉田多紀氏の作品は、ひと目見ただけですとダンボールが材料とは思えない質感。粘土を固めたような感じで、カーブした部分がとても自然なのです。そのため、ゾウやライオンなどの動物をダンボールで作ることが可能。今にも動き出しそうなものばかり。
多摩美術大学造形表現学部を卒業した玉田多紀氏は、ダンボールの柔軟性と強度の両方を活かした作品作りに取り組みました。「YOKOHAMA創造界隈ZAIMコンペ」受賞や「世田谷区芸術アワード“飛翔”生活デザイン部門」受賞といった受賞歴があります。
数多くの展覧会を開催するとともに、ワークショップも行っています。たとえば2017年9月に行われたワークショプは、会期中誰でも自由参加で「巨大ウミガメ」を作成するという内容。これを機にダンボールアートというジャンルを知った参加者も多いことでしょう。
玉田多紀氏の作品が何故これほどまで表面が滑らかなのかというと、ダンボールをぐにゃぐにゃになるまでなめし、それを千切ったり丸めたりした上で、木工用ボンド(水に溶いたもの)で貼り付けていくから。そうすることで、動物の微妙な筋肉の質感が再現されるのです。
古紙となって使われなくなったダンボールが、息を吹き込まれたかのような動物に生まれ変わるのは感動モノ!機会があれば、ぜひ一度見てください。
かつて一部の地方局で絶大な人気を集めていた番組「TVチャンピオン」。実力者が集まり技を競うというもの。大食い選手権もその一つであり、多くのタレントさんを輩出しました。
その中で「ダンボール王選手権」が開催され、ダンボールでレーシングカーを造り、実際にレースを行うといった企画がありました。「ダンボール王選手権」で優勝を飾ったのが岡村剛一郎氏。ダンボールで見事な屋台をこしらえたこともあります。
岡村剛一郎氏が起こした会社が「hacomo株式会社」であり、COO(最高執行責任者)に就任しました。ダンボール商品企画販売がメインで、イベント等も企画しています。子どもたちが楽しめる、電車や乗り物そして動物などのダンボールキットを販売しているので、実際に遊んだというご家庭もあるのではないでしょうか。ネット通販も行っています。
来年の干支やクリスマスといった季節商品もありますので、知育玩具の一つとしてお子様にプレゼントするのも良さそうですね。ダンボールアートに目覚めるかもしれませんよ。
YouTubeが世界を席巻しており、トランプ米大統領とも面会したピコ太郎氏のように突然有名になる人が増えています。精巧に作られたダンボールアートも世界から注目を集めており、城などの日本らしい建築物は海外から特に人気を博しています。
日本人なら誰もが知っている京都の「平等院鳳凰堂」。10円玉に描かれている建物であり、これをダンボールで再現したのが「うぷあざ棟梁」氏。ニコニコ動画で活躍をしている方で、YouTubeにもダンボールアート動画をアップしているため、ダンボールアート作家として知名度が高まりました。
現在、ニコニコ動画で閲覧できる最も古いものが2012年3月の「【ダンボールで】守礼門【作ってみた】」という動画。新しいものでは、最近流行した遊具の「ハンドスピナー」をダンボールで作った動画をアップしています。
うぷあざ棟梁氏が作成した「平等院鳳凰堂」は、作成過程も含めて5分の動画にまとめられています。建物の支柱など細かくパーツを作成し、何と5,000ピースから出来ているそうです。その製作時間は5ヶ月と長期に渡っており、その作業の大変さが伝わってくるかのようです。ここで驚くのが制作費はたった300円だということ。もちろん時は金なりですから、かかった時間の分だけ価値のある作品ということになります。
作成の過程も楽しめるのがダンボールアートの魅力。うぷあざ棟梁氏の動画を視聴して、ダンボールアートに挑戦した人もいるのでは。実際に、制作過程を事細かに記録して動画をアップしている人もいます。その動画を好きな時に誰でも見られるようになったことが、ダンボールアートの人気に火を付けた一因とも言えます。
ニコニコ動画にアップされている作品としては「松本城」「ダンボール戦車」や「ファミコン」「ゲームボーイアドバンス」といったゲーム機器、さらに刀剣乱舞というゲーム・アニメ作品で人気を高めた「鯰尾藤四郎」という刀も作っています。つまりダンボールアートを極めれば、建築家にも刀鍛冶にもなれるということです。
皆さんは「ダンボー」というキャラクターをご存知ですか?丸い2つの目と三角の形をした口の可愛いダンボーは、ダンボールで出来ているロボット型の着ぐるみ。あずまきよひこ氏のマンガ「よつばと!」の中で登場したキャラクターなのですが、あまりの可愛さに自分で作りたいと思う人が続出しました。
様々なコラボが行われ、フィギュアも発売されるなど人気爆発。ダンボーを外に連れて行って、インスタ映えするような写真を撮る人も多く、東京スカイツリーで写真展が開催されたこともあります。
こういったダンボール製のキャラクターというのは、とても魅力的であり自分で作ってみたくなるものです。どこからか荷物が届いて空き箱ができれば、材料費0円で作ることができるのも嬉しいポイント。
ダンボールアートの世界を知れば、やはり自分で作ってみたくなるもの。実は、初心者でも気軽に作ることができるダンボールアートキットが市販されているのです。その代表格がアースダンボール株式会社の「Danbou」。テープ状のダンボールで、内側の波になっている部分を使って作品を仕上げるというもの。
その他にも、先ほどご紹介しました岡村剛一郎氏の会社、hacomo株式会社が発売しているキットを活用するのも良いでしょう。100円ショップを覗いてみると、文具のコーナーにペーパークラフトキットやダンボールキットが並んでいるので、それを利用するのも一つの手。
自分で作るダンボールアートも良いですが、作れば作るほどプロの技が見てみたくなるもの。そこで各地で開催されているダンボールアート展を見に行ってみませんか?期間限定の開催というケースが多いので、ネット等で定期的に調べておきたいものですね。
次に挙げるのは、最近開催されたダンボールアートのイベント。調べる際の参考にしてください。
・全国各地:ダンボールアート遊園地
・全国各地:千光士義和の動くダンボールアート展
このようにダンボールアートの世界は奥が深く、極めたくなる魅力的なジャンル。プロの技を実際に見たり動画で視聴したりしながら、オリジナリティあふれるダンボールアート作品にチャレンジしてみましょう。
https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=97&d=65
https://mbrid01.wixsite.com/monamour-monaroom
大野萌菜美氏 DMMオンラインサロン
https://lounge.dmm.com/detail/106/
http://tamadataki.com/
http://www.hacomo.com/
http://www.nicovideo.jp/mylist/31992901#+sort=6
うぷあざ棟梁氏 twitter
https://twitter.com/upaza_toryo
http://store428d.com/
ダンボールアート遊園地(大分市美術館の場合)
http://www.naana-oita.jp/event/detail.php?id=14244
千光士義和の動くダンボールアート展
http://papyrusworld.net/event/exhibition/7454/