「ダンボールはどんなものでも一緒」このように考える人もいるのではないでしょうか。しかし実は、「それぞれの業務・業者に向くダンボール」というものが存在します。使いやすいダンボールを選ぶことは効率化にもつながりますし、また何よりも中身の破損を防ぐためにも役立ちます。ここでは業者別に、「利用しやすいダンボール」を提案していきます。
中身は軽くても、丈夫な素材を選びたいアパレル業のダンボール
他業種とは異なるペットショップのダンボール
「重さ」に耐えられる作りが必要な引っ越し用ダンボール
「壊れないこと」が求められる食品用のダンボールには?
繊細な花をつぶさないように……花屋用のダンボールについて
ジャストサイズの大学用ダンボール
用途別に使い分けたい、市場で使うダンボール
アパレル業のお客様の場合、「ダンボールの中身」はそれほど重くはないのが一般的でしょう。もちろん冬物などはかなり重くはなりますが、それでも、本などを運ぶことになる引っ越し業よりも中身の重量はずっと軽いはずです。だからといって「薄い素材で作ったダンボールでもよい」ということは言えません。積み重ねて保管することも非常に多いからです。このため、材質はある程度硬めのものを使う必要があります。また、アパレル業の場合、「服がシワになりにくい片付け方ができること」もキーポイントの一つになってきます。そのため、服の素材や種類に応じてダンボールの形状も変える必要があります。たとえば、ダンボールにそのままハンガーをかけられるようになっているものなども出ています。
「ペットショップ業」のお客様が使うべきダンボールは、ほかのどんな業種とも異なった特徴があります。それが、「空気穴が必要である」ということです。中に入っているのは動物ですから、呼吸が苦しくならないように、ダンボールの表面に穴あき加工を施さなければなりません。また、動物はほかの物品とは異なり、人間が予想しない動きをします。そのため、両手で抱きかかえるようにホールドするタイプの場合、動物が中で動き回った際に落としてしまうリスクが高くなります。ダンボールがへこむくらいならまだ良いのですが、かわいい動物がけがをしてしまっては大変ですよね。
これを防止するために、ペットショップ用のダンボールには必ず「持ち手」が付けられています。これによって安定した状態でペットを運ぶことができます。また、ペットのサイズは種類によって大きく異なります。そのため、ダンボールの大きさや形状も、その動物に合ったものでなければなりません。このあたりは、丁寧に相談打合せをして決めていきます。
引っ越しをしたいと考える人たちの間ではしばしば、「引っ越し業者のダンボールを手に入れるためにはどうしたらいいか」ということが話題になります。スーパーなどの空き箱と引っ越し業者が使うダンボールが、まったく違う品質であることがここからもわかるでしょう。(もちろん、これは「スーパーのダンボールが悪い」という話ではありません。「引っ越し業者の使うダンボールは、やはり引っ越しに最適なものである」ということです。)
引っ越し業者のダンボールに求められるのは、やはり「頑丈さ」です。重い物を入れても底抜けが起きないような丈夫さが必要です。また、引っ越し業者の場合はダンボールをトラックに詰め込んで運ぶことになるので、「詰め込みやすさ」も重要です。利用する側には、「重い本などを入れる場合は、小さめのダンボールに入れて運ぶ方がよいこと」「底面をガムテープで十字に補強すること」などを伝えておきましょう。また、ダンボールが盛り上がるほどにまで詰め込む人もよく見られますが、これは積み荷の崩れを誘発するので避けるように注意します。一つのダンボールに、「盛り上がり」が見られるまで詰め込むことは一見すると効率がよいように見えますが、結局のところ積載量が減る理由にもなります。
製麺業者などのように、「食品」を扱う業界においては、「商品の崩れ」を防ぐことが非常に重要になってきます。特に贈答用の場合は、型崩れしてしまった商品の価値は低くなってしまいます。ケースによっては、売り物にならず廃棄の必要が出てくる可能性すらあります。加えて「できるだけ多くの麺を一つの箱に納めたい」と考えるのは、製麺の業界に携わる人ならばごく当たり前のことです。一つの箱に多くの商品を詰め込むことができれば、それだけ輸送費用も下げることができます。また麺はそれほど厚みのあるものではありません。そのため、「一つの箱に二段・三段と重ねて収納すること」も多いでしょう。
麺をバラバラにせず、崩れないようにするためには、「仕切り」を設けることが有用です。間にこれを入れることで、麺が動きにくくなり、破損の可能性がぐっと低くなります。このときに使われる「仕切り」には、多くの場合筋の入ったパットが利用されます。これによって、下の方に置かれている面であっても「崩れ」「つぶれ」が起きません。細かく仕切りの位置などを調整してくれるダンボール製造業者も多いので、問い合わせてみるとよいでしょう。
「儚いもの」の象徴として取り上げられることも多い「花」は、非常に繊細なものです。手で触るだけで痛んでしまいますし、少し扱いを間違うだけで花が散ってしまいます。こうなってしまっては、もう売り物にはなりません。そのため、花を運ぶためのダンボールには細心の工夫が求められます。フラワーギフトを贈る際に使われるダンボールは、下部の方に高さを設け、そこに穴をあけておきます。この穴に鉢を入れて固定できるようにしておくのです。また、花にダンボールがこすれることがないよう、余裕を持ったサイズがとられます。
花もまた、動物と同じように「生き物」であり、呼吸をします。このため、空気穴もあけておかなければなりません。また、ペットショップのダンボールと同じように、「持ち手」を付けることもおすすめします。持ち運びが非常にしやすくなるからです。基本的に、花には実用性はありません。ではなぜ人は花を贈るのでしょうか。それは、花の持つ美しさを楽しむためです。そのため、それを運ぶダンボールにも一工夫があればさらに好意的に受け止められます。一般的な茶色のダンボールだけでなく、さまざまな色をつけたダンボール(カラーダンボール)を利用するのもよいでしょう。愛らしいデザインを刷り込むこともできます。ダンボールをドレスアップすることも、「美しさを贈る」フラワーギフトには必要なことでしょう。
ペーパーレス社会だと言われますが、それでも多くの大学・学校では紙を使った試験が主流です。パソコンやタブレットだけで試験を行う学校はまだ少ないのではないでしょうか。そのため、試験用紙などを納めておくためのダンボールもやはり需要があります。一概に言うことはできませんが、多くの場合、試験用紙はA4のサイズが使われていると思われます。そのため、ダンボールもこのサイズが適当でしょう。サイズが小さすぎれば折って保管しなければなりませんし、大きすぎれば試験用紙がぐちゃぐちゃになる可能性もあります。
ダンボールのサイズは、クラス単位・学年単位で適したものを選ぶことになるでしょう。ただ、「紙」というのは意外と重いものです。引っ越しのときでも、「重いもの」の代表例として本が挙げられるほどです。そのため、「一学年すべての試験用紙を納めたい」「問題用紙が複数」という場合は、あえて小さめのダンボールに系統立てて分けて収納するのも一つの手です。また、ダンボールは、「手をかける穴がないかたち」でも作ることができますが、試験用紙を納めることが前提の場合はやはり穴はあけておいた方がよいでしょう。これがあるかどうかで、持ち運びやすさがぐっと変わります。
「市場で使うダンボール」は、扱う商品によって細かく使い分けることが求められます。たとえば、ナシやリンゴなどを納めるためには、パルプモウルドがきちんと納めることができて、かつ果実同士が触れ合わず、ある程度の重さに耐えられるものでなければなりません。ダンボールといえば「中身を守ること」を目的とするため、しっかりと蓋がしまるようになっているものが一般的です。しかし葉物野菜の場合は、鮮度を保つために空気を取り入れる必要があります。そのため、葉物野菜の場合は上部を大きく開けたかたちのダンボールがよく使われます。
コスメ用品などを扱う市場の場合は、「自社製品をアピールすること」が重要になってきます。このため、自社ロゴなどを大きく刷り込んだダンボールが使われたり、目にも美しいカラーダンボールが使われたりします。ロゴから受けるイメージ、社名というのは、想像以上に人の心に焼き付くものです。市場におけるダンボールには、「これが一番良い」という正解はありません。自社が扱う商品によって選ぶべきダンボールは大きく変わってくるのです。
「ダンボール」は、決して「主役」になるものではありません。しかし主役を守り、運搬を楽にすることに貢献する名サポート役だと言えます。そのデザインや使用する紙の厚さ、カラーリング、形状などによって使いやすさが大きく変わってくるものでもあります。「このようにしたい」「どんな風にすればよいのかわからない」「今の不満点を解消したい」「コストをできるだけ抑えたい」という悩みや希望があるのならば、どんなことでもいいので、ダンボール会社に相談してみてください。プロの視点から、最適なダンボールを提案していきます。
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