皆さんは「VR(ブイアール)」を利用したことはありますか?VRとはバーチャルリアリティーを意味しており、非現実世界をいかにも実体験しているかのように感じることです。一昔前はVRの機械自体が高嶺の花で気軽に使用できませんでしたが、最近では個人でもVRゴーグルを購入しやすくなりました。
以前、本コラムにおきまして2016年4月に「若者の間で流行中の〝ダンボール・シアター」をご紹介しています。その時点ではまだダンボールに頭を入れて、箱に装着したスマートフォンへ映画を流して観るといったものでした。クラウドファンディングで商品化といった話題も出ていましたが、ダンボール製のVRゴーグルはこれに近いものがあります。
今回は、これまでのVRとダンボールの関係について考えるとともに、実際にダンボール製VRゴーグルを入手しましたので、そのレビューをご紹介します。また、VRゴーグルのような創意工夫を凝らした様々なダンボール製のオモシログッズも合わせて見ていきましょう。
1.ダンボール製VRの誕生
1-1.VRの歴史
1-2.スマートフォンとダンボールが合体
1-3.大手ゲーム会社によるVR機登場
2.多岐にわたる商品と販売ルート
2-1.機能なものから100均商品まで
2-2.オリジナルVRゴーグルを注文
3.100円ショップで実際に購入!
3-1.キャンドゥでVRゴーグルをゲット
3-2.準備は簡単!ちょっとした工夫も
3-3.VRアプリがこんなにたくさん!
4.レコードプレーヤーに鎧!?オモシログッズ
4-1.ダンボール土台のレコードプレーヤー♪
4-2.ダンボールの鎧をまとい出陣!
5.これは便利!アイデア次第でダンボールが大活躍
5-1.廃棄することまで考えたベビーチェアー
5-2.ニャンコ大喜び!SNS映えするソファー
6.まとめ
まずはVRの技術開発の歴史について、少し触れてみたいと思います。20世紀前半の海外小説においてVRと推測されるゴーグルが登場し、20世紀中頃では視覚や嗅覚などを刺激するVR体験装置の試作機が登場しました。20世紀末になると、テーマパークやゲームセンター等でVR機が導入されるものの、ビジュアルの再現性がまだ低くブームとまでは至りませんでした。
VRが本格的に普及し始めたのは2016年のこと。様々な機器が登場しVR元年と呼ばれています。VRに大きく貢献したのは、多くの皆さんが保有しているスマートフォン。これとゴーグルを組み合わせてVR機が完成するのです。VR専用のスマホアプリも次々とリリースされ、視聴できるジャンルやソフトが急増しました。
映像を再生する機器とゴーグルが完全に一体化したものは、周囲の光をしっかりと遮断してくれますのでVRの世界へ没頭できます。そのため高価な機器であれば数十万円というケースも。これでは気軽に使用するというのは難しいですが、スマートフォンとダンボールの枠組みを用いて簡易版のVRゴーグルなら一度は試してみたくなります。
それを実現してくれたのが「ハコスコ」という会社。2014年に国内でいち早くスマートフォンを利用したダンボール製VRゴーグルをリリースしたと言われています。現在ではイベント等で配布されたり、ノベルティグッズとして活用されており、多くの企業で導入するとともに各メディアで紹介されています。
2018年には大手ゲーム会社が、自社のゲーム機とペーパークラフト(ダンボール)を組み合わせて遊べるソフトを発売しました。レーシングゲームや釣りゲームなどバラエティに富んだソフトがあり、2019年4月にはVRを使用したソフトも誕生しています。これにより、子どもたちにとってもVRが身近なものとなりました。
普及してわずか数年というVRゴーグルですが、今では様々な会社から商品が発売されています。プラスチックやシリコンなどをパーツに用いて、長時間使用しても疲れにくい高機能ゴーグルなどがあります。VRソフトと抱き合わせにしたオシャレなゴーグルも人気を博しています。
ですが「VR酔い」という言葉があるように、近距離で画面を視聴することになるため、ゴーグルを装着しているうちに気持ち悪くなってしまうこともしばしば。それなら数百~数千円程度のリーズナブルなゴーグルを購入し、自分に合うか試してみたいものです。そこで、ディスカウントストアや100円ショップ等で販売されているダンボール製のゴーグルに注目しました。
レンズの性能などを見ると高画質という訳にはいきませんが、VRゴーグルの使用感を十分に試せることでしょう。手で持ちながら視聴するタイプや、ヘッドバンド付きで水泳のゴーグルのように頭へ取り付けるタイプなどがあります。
イベントで使用したりノベルティグッズとして配布したりするのなら、前述の「ハコスコ」などのメーカーにまとめて注文するという手もあります。ゴーグルの形や数量などを相談した上で、箱のデザインやカラーリングなどを指定できるのです。映像制作や配信等も手掛けているのだとか。今後はこういった販売ルートが増加していくのかもしれません。
ある日、100円ショップ「キャンドゥ」の店内を歩いていると、新商品のコーナーにダンボール製のVRゴーグルを発見しました。イベント等で本格的なゴーグルを装着したことはありましたが、その時は一瞬でしたのでゆっくりと映像を楽しめませんでした。そこで、自宅で使ってみようと思いダンボール製のVRゴーグルを購入してみたのです。
封入されていたのは、2枚のレンズが付いたダンボール1枚。これを組み立てることでVRゴーグルへと変身します。裏面に大きく組み立て方が書かれていましたので、わずか数分でゴーグルの形になりました。有難かったのはマジックテープが同封されていたこと。これなら簡単にスマートフォンの出し入れが可能です。視聴中に電話やメールの着信があると慌ててしまうので、この工夫はおおいに助かりました。
ダンボールの端も鋭利ではなく、手を切ることもありませんでした。ただし長時間装着すると目の周りがパンダ状態になりますので、クッションを付けるなど何らかの加工が必要かもしれません。
VR専用のアプリは有料かと思いきや、探してみると無料で利用できるものが結構見つかります。シンプルなもので言えば、VRで空からの落下体験ができるアプリ。スカイダイビングやバンジージャンプをするとなれば、現地へ行くまでに時間とお金がかかりますが、ダンボール専用ゴーグルとVRアプリがあれば、自宅で落下体験を楽しめます。
冒険系のストーリーアプリもありますので、バーチャル世界の中で勇者になってみませんか?怖いものが好きな方にはホラー系のアプリがおすすめ。今後も新しいアプリが続々と登場していくことでしょう。まさか100円ショップの商品で、これだけVRが楽しめるとは思ってもみませんでした。
レビューの最後に諸注意をいくつか。再度確認となりますが、ゴーグルだけではVRを体験できず、3.5インチから6インチ程度のスマートフォンが必要となります。さらに専用のアプリをダウンロードしなければなりません。また対象年齢は「15歳以上」と書かれており、年齢が達していたとしても、VR酔い等で体調を崩す可能性がありますので、長時間装着せずに少しずつ慣らしていくことをおすすめします。また、視界を完全に覆ってしまうことになるため、周囲に危険物が置かれていないか確かめてからVRの世界へ入りましょう。
ここまで「ダンボール×VR」を見てきましたが、ダンボールを使用したオモシログッズはまだまだあります。ダンボールをゴーグルにするという発想にもたいへん驚かされましたが、何とダンボールを土台に使ったレコードプレーヤーを販売している海外メーカーがあります。
「SPINBOX」と名付けられたレコードプレーヤーは、自分で組み立てる方式。土台部分が耐水性のダンボール(紙素材)になっているので軽いです。さすがにターンテーブルやアンプそしてモジュール等はプラスチック等のパーツを使用していますが、自宅内の好きな場所へ自由に持って歩けるのが嬉しいですね。モバイルバッテリーも使えます。こちらの商品は、日本の一部の楽器店等で取り扱っているそうです。
こちらはダンボールで本格的な鎧(よろい)を作るという商品。いわゆる戦国武将の甲冑パーツがダンボールで出来ているのです。幼少時にロボットの真似をしてダンボールを装着した経験がある方もいらっしゃると思いますが、ショウワノートの「着れちゃう!ダンボール」は見た目もかなり本格的。子ども用だけでなく大人バージョンも用意されています。真田幸村に伊達政宗の甲冑姿、ちょっと興味が湧いてきませんか?
人気アニメや有名な映画のコスチュームもダンボールで再現しており、全国の文具売り場等で取り扱いがあるそうです。現代においてはコスプレという文化が定着しており、ダンボール鎧もその普及に一役買っているのかもしれません。
ダンボールが活躍するジャンルは、留まることを知りません。イタリア製のダンボールベビーチェアーがクラウドファンディングサイトに登場したことがあります。赤ちゃんはすぐに大きくなっていくもの。ですが、身体に合ったチェアーでないと転落する危険性も。
そこで、ダンボール製のベビーチェアーを用います。ダンボール製なので簡単にリサイクルへ出すことができるため、廃棄することまでしっかりと考えられているのです。木製の椅子の解体を行ったことがある人は、その苦労が分かると思います。今後もクラウドファンディングという形で、新発想のダンボール製品が登場するかもしれません。
自宅でネコを飼っている方は、爪とぎに困っていませんか?気が付けば柱や壁をガリガリ…。その悩みを解決してくれるのがダンボール製ソファー「カリカリーナ」です。通常ダンボールと比べ10倍の強度があるため、ネコにとっても爪の研ぎがいがあるというものです。しかも座り心地の良いカーブ状になっていて、お姫様のソファーのような感じ。SNS映えするので、パシャパシャと写真を撮り続けたくなります。
ダンボール製のVRゴーグルをはじめ、様々な商品を見てきました。ダンボールは箱として運搬に使われるだけでなく、軽い・扱いやすいといった性質から様々な分野に役立てられているのです。皆さんも普段の生活のなかで、ダンボールへ置き換えることができるアイテムを探してみてはいかがでしょうか。