スーパーやドラッグストアなど、街中で多数利用されているダンボール。最近ではネット通販の利用者が増え、自宅にもダンボールが積み重なっているという方も多いのではないでしょうか。今回注目したのは、子どもたちが毎日元気に通う「学校」。特に、小学校・中学校においてダンボールがどのように活用されているのか、現役の先生の話を元にご紹介していきたいと思います。
普段の授業だけでなく、PTA主催のバザーが開催されたり自治体による出張授業(ダンボールコンポストの実演など)が行われたりと、様々な機会にダンボールが登場します。また、学校の体育館が避難所に指定されていることも多いため、そこでもダンボールの出番があります。
1.小学校へ到着!
1-1.校門から下駄箱まで
1-2.子どもたちは各教室へ
1-3.職員室でも有効活用
1-4.専科授業で大活躍
1-5.総合的な学習の時間
2.楽しい行事をサポート
2-1.運動会
2-2.文化祭(学習発表会)
2-3.修学旅行
3.大人主導のイベント
3-1.資源回収
3-2.出張授業
3-2.親子の思い出
4.体育館が避難所に
4-1.ダンボールの重要性
4-2.ダンボールベッド導入
7.まとめ
小中学校へ通っていた頃を思い出しながら、バーチャルな感じでダンボールを探しつつ、まずは校内を巡ってみましょう。ただし、今回はとある小学校を例として挙げていますので、すべての学校で実施している訳ではありません。
「おはようございます!」元気な声が響き渡る小学校の校門。最近では児童の安全確保のため、交代制で先生が校門に立つことも少なくありません。今日はあいにく雨がシトシト降っていますが、ここで早速ダンボールを発見。校門付近が土で水たまりが多くできている時は、一時的にダンボールを敷いておくことがあります。子どもたちは水たまりでパシャパシャと遊びたがりますので、ダンボールの上を通過させて汚れが広がるのを防ぐのです。
さて、子どもたちは下駄箱へと歩みを進めます。ここでもダンボールを見つけました。クラスごとに割り当てられたボール(ドッジボールなどに使用)を、ダンボールの中に収納しています。金属製のケースですと、崩れてきた時に危険が伴いますし、プラスチックケースではかなり汚れが目立ちます。定期的に交換がしやすいよう、ダンボールを活用しているのです。親御さんから大切な子どもたちを預かっている以上、ケガをさせない空間作りが大切であり、そのためにはダンボールのような軽量で鋭利な角が少ないものを活用すべきなのです。
ワイワイとおしゃべりをしながら各教室へ到着。ダンボールは…と探してみると、ありました「落とし物入れ」としてダンボールの箱を使っています。きちんとしたプラスチックケースを購入する場合もありますが、予算は限られていますので節約できるところは節約しましょう。
ところで兵庫県芦屋市の公立小学校では「ロッカー箱」というものが使われているのをご存じですか?これはダンボールなどに綺麗な布を貼り付け、子どもたちが学校へ持参して使うものです。いわゆる道具箱のようなもの。ある手工芸材料店では、ロッカー箱作りを代行しているそうです。
続いて掃除ロッカーを開けてみると、木製の床をピカピカにするためのワックスが入っていました。漏れたり垂れたりすると大変なので、ダンボール箱の中にワックス缶を入れることがあります。ただし安全面を考え、ワックス使用日以外は教室に置かないようにしている学校が多いです。
ここで先生のお部屋を覗いてみましょう。職員室ではダンボールがどのように活用されているのでしょうか。注目したのはコピー機。学校ではテストやお知らせなどで、毎日大量のコピー用紙を消費します。一般的には1パック500枚入りで、5パックセット(2,500枚)で1つのダンボールに収められています。このダンボールがとても頑丈で使い勝手が良いのです。ストックしやすいよう、フタ付きのダンボールに入ったコピー用紙もありますので、そのまま教具入れなどに有効活用できます。
算国理社といった主要教科でダンボールを使うこともありますが、最も活躍できるのは図工や体育といった専科授業。図工の授業では道具や材料を仕分けておくのに便利ですし、ダンボール自体が工作の材料になることも。体育倉庫へ入ってみると、ここでもダンボールが使われています。特に校庭へ白い線を引くラインパウダー(消石灰)は、周囲に散ってしまいがちですので、ダンボール箱に入れるか敷いておくことが多いです。
2000年から小学校~高校まで段階的に導入された「総合的な学習の時間」。この授業を受けた経験はありますか?算国理社などと比べ、各学校ごと自由度が高いので様々な授業を展開できます。ダンボール会社が地元への社会貢献として出張授業を開くことも。リサイクルの大切さなどを、先生以外の大人に教えてもらうのです。
小中学校では定期的に楽しい行事・イベントが実施されます。子どもたちにとっては一瞬の思い出かもしれませんが、先生側はかなり前から準備をしているので大変です。その準備段階において、ダンボールを用いることがあります。
スムーズな進行が求められる運動会。特に太陽がギラギラと輝く暑い日ですと、間延びせずにできるだけ早く済ませる必要があります。ここで問題となるのが競技の入れ替え。リレーではバトン(最近では輪が使われことも)やタスキ、玉入れの玉に表現活動の小道具など、いずれも速やかに子どもたちへ配布しなければなりません。入退場ゲートの横にダンボールを各道具を入れた配置し、スムーズに手渡します。
小学校では学習発表会、中学校や私立学校では文化祭が開かれます。公立小学校ではPTAが主催となって屋台が出店するバザーを開催することもありますね。子どもたちがメインとなる場合は、お遊戯会や演劇が舞台上で披露されます。毎年別の演目を開くとなれば、以前使用した小道具・大道具を流用できませんので、新たにダンボールで作り直します。各家庭から持ち寄ってもらうほか、地元のスーパーなどに先生が予め貰い受ける約束しておくケースも。大量のダンボールを上手に工作して、素晴らしい発表や演劇が繰り広げられることでしょう。
子どもたちにとって学校生活で最高の思い出が作れる修学旅行。先生たちにとっては、緊張する数日間でもあります。皆がケガなく健康で戻ってこられるか、途中で事故に合わないかなど心配は尽きません。そのためにはキッチリと準備をすることで、少しでも安心して出発日を迎えたいものです。
修学旅行では先生個人の荷物のほか、声を掛けるためのマイクロフォンやトランシーバー、レクリエーションで使用する道具に、子どもたちが忘れ物をした時のための予備などをバスへ積み込まなければなりません。当然、バスは出発日の朝にならないと学校へ来ませんから、迅速に短時間で積み込めるような状態を整えておく必要があるのです。ダンボールへクラス別に入れて、現地で分かりやすいように箱へ中身を明記します。
学校は公共の場として様々な機会に活用されます。子どもたちよりも大人が主役となって活動する日も。今回はいくつかのシチュエーションで、ダンボールがどのように使われていくのか見ていきます。
ダンボールをはじめとする資源ごみは、一般的に各地域ごとに自治体が決められた曜日に回収をしてくれます。ですが資源ごみはある程度の量が集まれば、換金することも可能です。そのために学校で月に数度ダンボールや新聞紙の資源回収をしてお金を作り、子どもたちへ還元するといった試みをしている学校があります。お手伝いをする子どもたちにとっても、資源ごみの分別の重要性が伝わることでしょう。
地元の会社が社会貢献として、学校へ主張授業を行うことがあります。そのなかで最近よく見かけるようになったのは、ダンボールを用いたコンポスト。コンポストとは野菜の切れ端など生ごみから堆肥を作るもの。本コラムでも2016年6月に【お庭が無くても大丈夫!ベランダにも置ける“ダンボールコンポスト”の作り方】としてご紹介しています。
環境省が実施している「グッドライフアワード」においても、八王子市立弐分方小学校が「つなげよう段ダンボールコンポストの輪」で環境大臣賞を受賞しました。家庭の生ごみを持ち寄り、ダンボールコンポストで堆肥を作って、新たに野菜を育てたのです。ダンボールコンポストの授業は、自治体が主導したり学校独自で行ったりと各地で開かれています。
親子で同時にお休みが取れた日、楽しい思い出を作りたいものですね。そこである小学校では有志が集ってダンボールハウスを作り、学校の運動場でキャンプを行いました。ダンボールを組み合わせて、思い思いのデザインに仕上げていきます。学校に泊まるというのは、子どもたちにとってドキドキするもの。また、こういった経験が災害発生時にも役立ちます。
公立の小中学校は、地域の避難所として活用されています。つまり、学校の体育館へ避難し宿泊をすることになります。地震発生時はもちろんのこと、台風などの水害時にも大いに役立てられます。
畳んで小さく収納できるダンボールは、いざという時に大活躍。支給品を家族ごとにダンボールへ入れ配布したり、冷たい床に座ることがないようダンボールや毛布を下に敷きます。ダンボールは物を入れるというだけではないのです。
2018年8月に本コラムで【自治体必見!避難所で大活躍のダンボールベッドが絶対に必要なワケ】をご紹介しています。最近ではダンボールベッドの知名度が上がっており、その優位性が改めて評価されています。ダンボール会社が自治体と協定を結び、災害発生時には速やかに学校の体育館などへダンボールを提供するといった試みも広まっています。
普段の学校生活だけでなく、行事やイベントなど多くの出番があるダンボール。子どもの頃からダンボールの活用法を身に着けておくと、いざという時に役立ちそうですね。